稽古の中で考える剣道に!技を試合で使えるようにするには?

稽古の中で考える剣道に!技を試合で使えるようにするには?

 

基本打ちでは上手に打てるのに、
試合ではなかなか打つことができない。
そんな生徒をよく目にします。

 

 

基本打ちのところで丁寧に説明して、
かなり上手に打てるようになった。
しかしなぜか地稽古や試合でその技を使わない。

 

 

せっかく打てるようになったのになぜやらないのか。
私が初心者の指導をしてしばらくたった時、
この壁にぶつかりました。

 

 

応じ技を必ず地稽古中に打つように指示する。
できるようになった技を試合で無理やり出させる。

 

 

私が近くで指示している分には、その技を使いますが、
結局本番の試合では全くその技を出せません。
というか無理やり打たせた時も、
なぜかうまく打てませんでした。

 

 

基本打ちの時はできるのに試合ではできない。
今回はそんな悩みを抱えている人へのお話です。

 

 

そもそもなぜ試合で技を出せないのか?

 

 

根本的な話になりますが、そもそも
なぜ試合でできる技を出さないのか?

 

 

私が出した結論としては、
自分でその技を選択できないから。
ということになります。
少し分かりにくい表現ですね。

 

 

例えば調理実習でカレーを作ったとします。
作り方は分かったし、調理方法もやりました。
しかし、家で残り物を見て、習ったカレーをアレンジして、
自分の力では作れない。そんな感じです。

 

 

では、どうすれば残り物をアレンジした、
カレーができるようになるか。
それは、色々な材料を渡した状態で、
好きに料理をして良い状況を作ってあげるのです。

 

 

その時に、生徒がカレーを選択すると、
野菜カレーや、カレーうどんを作るかもしれません。
美味しくはないかもしれませんが、自分で考えたので、
次に作る時には、上手に行くかもしれません。

 

 

調理実習を剣道で言うところの基本打ちだと考えます。
みんなで一緒に申し合わせた技を繰り返しても、
実際の試合の場面では、どうすれば良いか分からない。
それが技を出せない子の状況です。

 

 

それならば、自分で何でもやってもいい状況。
自分がやりたいような技の練習を、
自分の力で選択して、自分の力でやらせる。
これが、本当の意味で技を自分のものにする練習です。

 

 

面返し胴を選択して練習する。
上手くいかない。
どうすれば上手くいくか自分で考える。
もう一度やってみる。

 

 

通常の基本打ちと同じように感じるかもしれませんが、
大切なのは、「自分で選択した」ところです。

 

 

自分で練習しようと決めて、周りと違う技を、
自主練習的に行う。
上手くいくのもいかないのも、
全ては自分の責任になってきます。

 

 

稽古の成果の責任を個人に持たせて、
自分で本当に考えてやるということが、
技を自分のものにするのです。

 

 

実際の練習方法はどうしているのか?

 

 

考え方を先ほど書かせていただきましたが、
では実際の稽古はどのようにやっているかというと、
そんなに難しいことはやっていません。
時間をたっぷり使って考えさせているだけです。

 

 

多くの学校では、基本打ちの本数を決めて、
その本数が終わったところで相手を交代。
そういった稽古をしていると思います。
実際に私の学校もそうです。

 

 

しかし、技を自分のものにする稽古の時には、
本数ではなく時間で区切って行っています。
自分で考える時間を1分ほどとってあげるのです。

 

 

以前、九州学院高校の基本打ちの動画の場面で、
3人組で3本打ったら交代という基本打ちを、
米田先生の「やめ」がかかるまで続けていく。
そういった稽古風景がありました。

 

 

激しくて肉体的にもつらい稽古で有名な九州学院で、
たっぷり時間を使って頭を使う稽古をしているのは、
私の中ではかなり衝撃でした。

 

 

その動画の中で米田先生が何度も、
「なぜ、なんでを考えて、自分で意識しろ」
というようなことを繰り返しおっしゃっていました。

 

 

自分で考える力が、九州学院高校の力になっていると、
その動画を見て改めて感じました。

 

 

そこからヒントをもらって、私の学校でも
「技の研究」という時間を毎稽古で設定しています。

 

 

2人組で、1分交代で自分のやりたい技を研究します。
面打ちや小手打ちを指定する時もありますが、
応じ技などは、基本的に自由に決めさせています。

 

 

その稽古を多い時には20セット、
少ない時も4セットはやります。
掛かり稽古などの激しい稽古の後に、
設定することが多いです。

 

 

さらに普段と違うのはその稽古中には、
お互いに喋ることを推奨しています。

 

 

「なんで俺の小手はいつも右にずれるんだろ」
「お前竹刀が中心から外れているよ」
「どうしたらそんな上手に打てるの?」

 

 

このような会話なのですが、
1分間の間に話をわりとよくしています。
先輩から後輩にといった場面が多いですが、
和気あいあいとした雰囲気の中でやっています。

 

 

話すことで脳が活性化しますし、
自分や他人の問題点を口にすることで、
そこを意識してやれるようになっていきます。

 

 

これは私の感覚的なものなのですが、
私が指導して教えるよりも、生徒同士が、
お互いに気付いて話している時の方が、
稽古の浸透率が良い気がしています。

 

 

普段は稽古中におしゃべりをする場面は、
ほとんどの場合無いと思います。
しかし、この練習中に関してだけ言えば、
とても大切なことだと考えています。

 

 

最後に

 

 

自分で練習内容をコーディネートする、
この稽古を取り入れるようになってから、
生徒たち自身がしっかりと稽古内容を、
意識できるようになってきました。

 

 

練習中に自分がやっていた技も、
地稽古や試合で積極的に使うようになりました。

 

 

そして、生徒自身が試合で戦う時にも、
自分の試合を考えて行う力が、
多少ついたと思います。

 

 

試合後に、何を狙ってやっていたのかを聞くと、
多くの子が自分の考えたことを、
私に伝えられるようになったからです。

 

 

また、練習の雰囲気が良くなったことも、
この稽古を取り入れて良かったことです。

 

 

どうしてもピリピリしがちな稽古中に、
この練習を挟むと、生徒もリラックスして、
再び稽古に取り組めるようになりました。

 

 

時間で区切って自由にやらせて、
しっかりと考えさせて行う。
もし興味を持っていただけましたら、
ぜひ稽古に取り入れてみて下さい。

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