剣道の試合で一本をとる【決めるには一本の基準を知る】
一本を決めるってなに?
決めきるってなに?
生徒が中途半端に打突を止めたりすると、思わず
最後まで決めきらんかい!
と言ってしまいます。
でも、決めるっていう言葉を簡単に使うけど、決めるって何かを生徒たちは知らないのです。
ここでは、有効打突の定義と、決めるという言葉の意味について考えていきます。
剣道で「決める」ってよく聞くけど・・・。
打った瞬間の打突がきれいに入っていても、一本にならないことが剣道ではよくあります。
そういった生徒と一緒に稽古をするときによく聞く質問があります。
その生徒が私に打ち込んだ直後に
「今の一本になったと思う?」
「何が足りなかったと思う?」
こんなことを聞くと、生徒はよく
「決めきれなかったと思います。」
と答えます。
指導中によく
「決めきれ!」
「最後まで決めろ!」
と言った声かけをするからでしょう。
しかし「決めるって何?」という質問をすると
「?」になったり
「残心のことです」
と答えたりする生徒がほとんどです。
決める=残心
もちろん残心も大切なことです。有効打突の条件にも
剣道試合・審判規則第12条
有効打突は、充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものとする。
と、残心について明確に記してあります。
しかし、実際に審判を見ていると、
形として残心まで見届けてから旗を上げることはほとんどありません。
下に剣道の一本集動画を載せます。
う〜ん・・・どれも惚れ惚れするような一本です。
私は剣道の一本集を週に3回は見ないと眠れません笑
動画を見ると旗が上がった後に、ほとんどの選手はしっかりと残心をとっています。
しかし動画の中でもやっぱり、残心をとる前に旗が上がっています。
どうやら試合において、残心=決めるではなさそうです。
では「決める」というのは一体なんなのでしょうか?
ここでは私なりの「決める」の解釈を書かせていただきます。
一本を「決める」とは何なのか?
「決める」という言葉は、おそらく「最後まで決める」という意味ではないかと思います。
「最後まで決める」って残心と一緒じゃないか!」
と思われるかもしれません。
しかし、先ほど書いたように、審判は残心まで確認はしません。
では何を見ているのかというと、
打った直後に「残心を決められる状態までもっていけるか」を見ていると考えられます。
指導の中で、「からだを前に出しなさい」というのはよく言われることです。
これも、打突後にからだを前に出すことで、残心がとれる状態までからだを移動させる必要があるからです。
からだを前に出す勢いが弱いと、残心までとれないと経験から審判は判断します。
有効打突の用件に無い、打突後のからだの勢いや、打突後の姿勢が審判の判断に含まれるのもそれが理由ではないでしょうか。
生徒にも必ず最後は残心をとるように指導します。
それは、残心を意識したからだの動きを覚えさせるためです。
ただ形として闇雲に残心をとるのではなく、打突後の動きを含めて残心の指導が必要になってきます。
一本を「決める」というのは、
残心までもっていける状態まで、からだの勢いや姿勢をつくることだと考えられます。
ただ単に「決めろ!」という指導ではなく、
打突後に相手に打たれない状態まで体を持っていき、残心の形をきちっととれるか
を確認する必要があるのではないでしょうか。
私の学校の生徒には、「決める」をこの定義で話しています。
もちろん言ったからすぐにできるわけではありませんが、「決める」という言葉の意味を考えずに使っているよりは、ずっと意識して練習することができます。
「決める」の定義は人それぞれで違うと思いますが、指導するときに定義を話してあげることも大切な指導のポイントだと考えています。
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