切り返しのやり方【基本】その目的と効果とは?

切り返しのやり方【基本】その目的と効果とは?

切り返しには剣道に大切なことがつまっている!

 

 

 


 

剣道を少しでもやったことのある人は
聞いたことのある、切り返し。
稽古の最初と最後に導入しているところも多いでしょう。

 

 

剣道の段審査の中でも、筆記試験で
切り返しの目的と効果について問われることがあります。
それほど剣道において切り返しというものは、
基本的な動作を習得するために大切なものであると考えられています。

 

 

今回は剣道の基本ともいえる
切り返しの目的、効果についてお話します。

 

 

 

切り返しは何のためにやるの?

 

剣道の稽古法は色々あります。
しかし、どの地域に行っても切り返しだけは
必ず決まった形で行われます。これは

 

 

「切り返し」という稽古法が全日本剣道連盟によって統一
されていることが理由です。

 

 

全日本剣道連盟が発行している
「幼少年剣道指導要綱」によると切り返しの目的は

 

 

「構え(姿勢)」
「打ち(刃筋や手の内の作用)」
「足さばき」
「間合いのとり方」
「呼吸法」
「強靭な体力」や「旺盛な気力」などを養い
「気・剣・体一致の打突」の習得

 

 

とされています。
たくさん盛り込まれていますが、そ
れだけ切り返しの中には多くの大切な要素が含まれているのです。

 

 

 

 

指導上の留意点としてもいくつかあげられていますので、
抜粋して下に書くと。

 

〇初心の段階では、特に「動作を大きく」「正確に」おこなうことを旨として、いたずらに速いことをのぞまず、「ゆっくりと確実に」おこなわせること。

 

〇肩の余分な力を抜いて柔軟に左右平等の打ちになるようにおこなわせること。

 

〇連続左右面打ちの角度が45度ぐらいになるようにおこなわせること。

 

左こぶしは常に正中線上を移動するようにさせること。

 

 

と、切り返しでのポイントがいくつも書いてあります。特に初心のうちは
大きくゆっくり正確にという部分は大切にしたい
ポイントです。ここで正しい打ち方を学べれば、
その後はスピードを上げたり、打突を強くしたりすればいいのです。

 

 

昔から切り返しってあったの??

 

切り返しで得られるものは、
先ほどの「幼少年剣道指導要綱」に書いてあるのですが、
北辰一刀流開祖千葉周作の言葉が
切り返しで得られるものについて記述したものがあります。

 

 

「切り返し十徳」
第一 業烈しく早くなる事
第二 打ち強くなる事
第三 息合ひ永くなる事
第四 腕の働き自由になる事
第五 身體輕く自在になる事
第六 寸長の太刀自由に遣はる丶事
第七 臍下納まり軆崩れざる事
第八 眼明らかに成る事
第九 打ち間明らかに成る事
第十 手の内軽くさえ出る事

 

 

昔から同様に切り返しの効果が語られていたことがよく分かります。
江戸時代のころから切り返しというものが存在して
稽古法として重要だと考えられていたのです。

 

 

切り返しを稽古に積極的に取り入れることは、
剣術の流れからも非常に重要なのです。

 

 

切り返しに体当たりは必要?

 

 

多くの指導者の方は切り返しの最初の面を打った後、
必ず体当たりをするように指導すると思います。
私もそのように指導していました。

 

 

しかし、ある時県警の特練員の方と話していると、
特練では体当たりの指導をしていないことをしりました。
切り返しの体当たりについてその方はこんなことをおっしゃっていました。

 

 

 

体当たりはしなくていいですよ。
面を打った後の伸びも無くなるし、腰に負担もかかりますからね。

 

やるなら気当たり(気持ちで当たっていき、体は当てない)で、受け手も少し下がってあげるくらいのほうがいいですよ。


 

確かに、初心者の子は打突後に体当たりさせると、
すぐに手を引っ込めるクセがついてしまいます。一方、

 

 

気当たりならばしっかりと手を伸ばして前に出られるようになります
何より、体当たりを繰り返し行うのは、
成長期の中学生の体にかなりの負担
になってしまいます。

 

 

下の動画は神奈川県警の特練の稽古風景を撮影したものです。
動画の最初に切り返しをしますが、
体当たりではなく気当たりなのが分かると思います。

 

 

 

 

その話を聞いてからは、初心者のうちは切り返しの時に体当たりをさせず、
気当たりでさせるようにしました。

 

 

ある程度できるようになったところで、体当たりを教えたほうが、
よっぽど上手に体当たりできることも知りました。
普段の切り返しも基本的には気当たりでやるようにしています。

 

 

しかし、段審査などでは
多くの人が体当たりの切り返しをしていますので、
体当たりの切り返しも知っておかなければなりません。

 

 

そういった理由で、体当たりの切り返しも
時々稽古に取り入れて指導するようにしています。
もちろん体当たりの技は別で扱っています。

 

 

ちなみに、剣道指導要綱の中に、
体当たりについての記述はありません。つまり
無理に体当たりをする必要はないのです。

 

 

腰を痛めている人は、相手にお願いして
気当たりにしてもらうのもいいかもしれませんね。

 

 

剣道の基本ともいえる切り返し。
毎回の稽古でやるものだからこそ、
こだわって上達していきましょう。

 

 

>>弱小剣道部が強くなった秘密

 

 

稽古に臨みましょう

 

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>>初心者の練習方法

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