中学校の部活はブラックか、剣道部の活動から考える

中学校の部活はブラックか、剣道部の活動から考える

 

 

ブラック部活って何?

 

 


 

 

メディアの影響でしょうか、
ここ20年くらいで教員の立場というものは、
どんどんと弱いものになってきました。

 

 

こなす事務的な仕事量は増えるのに、
そのほかの仕事量は全く変わらない・・・。
どの仕事もそうでしょうが、教員もやりづらい時代になりました。

 

 

そんな中最近ブログやツイッターを中心に、
中学校の部活動のありかたについて議論がでてきています。
ブラック企業ならぬブラック部活なんていう言葉もでてくるほどです。

 

 

ここでは中学校の部活動をどうするべきなのか、
私の考えを書いていきます。

 

 

部活動ってどういう位置づけ?

 

 

文科省『学習指導要領』より

 

運動部活動は、学校教育活動の一環(教育課程外)として、スポーツに興味と関心を持つ同好の児童生徒が、教員等の指導の下に、自発的・自主的にスポーツを行うものであり・・・

 

少しわかりにくいですが、つまり

 

 

部活動は学校で決められている活動ではなくて生徒の自主的な活動ですよ。

 

 

ということです。中学校における部活動というのは、授業や学級経営とは違い、
学校の先生が必ずやらなければならないものではありません。
顧問の先生の善意で成り立っているんですね。

 

 

私は部活動に対して前向きに考えていますが、
この部分はもっと保護者をはじめ
世間一般の人たちに認知されるべきだと思います。

 

 

保護者の中には平気でクレームを言ってきたり、ひどい場合
、顧問を変えろと校長室に怒鳴り込んでくる方がいたりします。
幸い剣道部を続けてきて、
そのような保護者の方にはお会いしていませんが、
私がいつそうなってもおかしくないと常に感じています。

 

 

もしそうなったらどうするか?と言われたら・・・
剣道部の顧問を辞めますね(笑)
基本的に保護者が言ってくるということは、
生徒からも不信感を持たれているということです。

 

 

そんな状態で顧問を続けても意味がありません・・・
と言っても簡単に部活の顧問をやめられない部分も
ブラックなところなのですが(笑)

 

 

ボランティアでやっているはずの部活動ですが、
学校では4月になると当然のように
顧問の割り振りが発表されます。

 

 

私の勤める地域では一応教員は
全てどこかしらの部活の顧問になります。
拒否権はあるのでしょうが、
そんなことをいう人は見たことがありません。

 

 

ボランティアを強制的にやらされて、
その活動に対して責任をもたされクレームを言われる。

 

 

確かにひどいですよね(笑)

 

 

>>剣道部の保護者に進む

 

 

部活動による教員の負担

 

 

時給にしたら300円くらいの時もありますが、
私の地域では土日の部活は手当てが出ます。
しかし、大会などの交通費は基本的に自腹なので、
私の場合1年間をトータルで考えると
出費のほうが多く赤字です。

 

 

平日の朝練や夕方からの練習は、お金が一円も出ません。
私の学校は6月から最終下校が18:45ですので、
強制的に2時間残業になります。

 

 

朝練も含めると3時間以上の時間外労働です。
生徒が帰った後から次の日の授業準備などをおこなうので、
5〜7月の夏場は職場を出る時間が
いつも22時を過ぎてしまいます。

 

 

もちろんこういった仕事は世の中にたくさんありますので、
教員だけではありません。しかし土日も無くなっていることを考えると、
多い月は残業時間が150時間を軽く越えてきます。

 

 

そのうち部活の残業時間は100時間くらいでしょうか。
負担の時間だけならばブラック企業とも良い勝負ができます(笑)

 

 

子どもが保育園に通っていたころは、
送り迎えの関係で朝練は週3日にしてもらいましたが、
それでも帰宅時間が遅いので、
毎年夏場は私の家族にも負担をかけています。

 

 

さらに今はケガの防止などの名目で、
私の勤める市では部活動中、
基本的に顧問はその場にいないといけません。

 

 

もちろん何もなければ、部活の時間は武道場にいるのですが、
生徒指導の関係や会議などでどうしても行けない時もあります。
そういった時はどちらも中途半端になっている感じがして、
精神的につらいものがあります。

 

 

また、部活内で揉め事やトラブルが発生した場合、
顧問の責任としてそのトラブルに対処しなければなりません。
学級担任と同様、LINEのやりとり等の
プライベートな部分で起こったものも、
対応しなければなりません。

 

 

部活内で揉め事が続くと、
それの対応だけで一日が終わってしまう時もあります・・・。

 

 

拘束時間や金銭面、責任の面でも、
部活動は教員にとって大きな負担になっています。

 

 

それでも部活動の顧問を頑張れるわけ

 

 

 

部活動のマイナス面をたくさん書いてきましたが、
それでも私が部活動の顧問を続けるのは、やはり
剣道と生徒が好きだからだと思います。

 

 

特に私の学校の剣道部は初心者から始める子が多いので、
技術的にも人間的にも成長していく姿が分かります。

 

 

3年生が引退する時に、最後に一緒に稽古をするのですが、
その時は毎年涙が出てきます。

 

 

もちろん大変なことのほうが多いのですが、
生徒ががんばってくれているうちは、
私もがんばり続けようと思っています。

 

 

結局のところ、私もボランティア精神でやっているのですが、
ボランティアだからこそ得られる喜びや、感動
もあるのでしょうね。

 

 

逆にお金をもらって、仕事としてやるとなったほうが、
窮屈になりそうなので嫌です(笑)

 

 

ここでもう一度文科省の文章を引用しましょう。

 

文科省『学習指導要領』より
運動部活動は、学校教育活動の一環(教育課程外)として、スポーツに興味と関心を持つ同好の児童生徒が、教員等の指導の下に、自発的・自主的にスポーツを行うものであり・・・

 

部活動はやはり生徒の自発的・自主的な活動です。
私一人が、がんばらなければならないとしたら、
それは間違っています。

 

 

生徒と顧問一緒に協力して活動していく姿こそ、
本来の部活動の姿です。
さらに言えば保護者も含めた3つの立場から生徒の成長をサポートしていく必要があります。

 

 

わたしもそんな剣道部をめざしてこれからも頑張っていこうと考えています。

 

 

>>弱小剣道部が強くなった秘密

 

 

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