初心者からの剣道指導法を剣道部顧問が教えます

最後は生徒が練習メニューを考えるようにする

 

 

考えることができる生徒を育てる!

 

 


 

 

剣道の稽古は、一般的に
顧問の先生や道場の先生が作ったメニューで行います。

 

 

顧問の先生が剣道を全く知らず、
自分達でやっているところもあるとは思いますが、
中学生が何もないところから自分達だけでやるとなると、
かなり強い気持ちがないと難しい
と思います。

 

 

私も稽古のメニューは生徒に提案してやることが多いです。
しかし、稽古の地盤ができた後は、
できるだけ生徒達でメニューを考えさせやるように指示しています。

 

 

やらされることよりも、やろうとしていることのほうが、上達が早いです。
それに自律した気持ちを持たせるためにも、
稽古内容を自分達でコーディネートすることは大切です。

 

 

ここでは、初心者だった生徒たちが、
自分達でメニューを考えてやれるようにするまでの流れを書いていきます。

 

 

なぜ生徒が考えたメニューで練習するのか?

 

 

私が考える生徒が考えたメニューで行うメリットは
以下の2点です。

 

 

1自分で考えたメニューのため責任感が出てくる。

 

2自分達で部活を動かす経験から、人間的に成長させる。

 

では見ていきましょう。

 

 

自分で考えたメニューのため責任感が出てくる。

 

 

生徒がメニューを考えてやった場合、
上手に稽古内容を伝えられなかったり、時間がかかったりと
効率はあまりよくありません。
私が考えたメニューを生徒に説明して、
伝えれば時間はほとんどかかりません。

 

 

ではなぜ生徒に稽古内容を任せてしまうのかというと、
自分達で考えたメニューだと、生徒の中に
「しっかりとやらなければならない」
という責任感が出てくるからです。

 

 

責任感は集中力を生み、
自ら考えて稽古に臨めるようになっていきます。

 

自分達で部活を動かす経験から、人間的に成長させる。

 

 

 

 

さらに稽古への集中力があがるだけではなく、
人間的な成長を感じることができます。

 

 

稽古メニューに不満を持ったり、
自分の指示がうまく伝わらなかったりする経験を経て、
人を思いやる気持ちや、伝わりやすい話し方や考え方
を学ぶことができます。

 

 

私の一番大切にしたいことは、
剣道の技術向上ではなく人間的な成長です。
社会に出ると、ほとんどの問題には答えがありません。
考え方や年齢の違うチームで協力して、
考えて自分達で解決する力が必要です。

 

 

今の学校教育の中で、
年齢の違う者同士が協力できる機会は、
部活ぐらいしかありません。

 

 

自分達で考えて協力して進めていく経験は、
きっと勉強以上に将来の役に立つと信じています。

 

 

>>今の中学生に必要な物に進む

 

 

自分達で稽古メニューを考えて行うまでのステップ

 

 

私の学校の剣道部のように、
初心者がほとんどの学校では、
いきなりメニューを考えてやりなさいと言っても、
なかなかできるようになりません。

 

 

また、自分達の弱点を意識することや、
その弱点を補うような稽古も知らなくてはやることができません。

 

 

>>弱点を補うための稽古メニューに進む

 

 

そこで、私は4月〜7月の最後の3ヵ月を
生徒が運営する機関にすることを目標にして、
次のステップで行っています。

 

1 指導者主導で、稽古メニューを全て指示する(7〜10月)

 

2 稽古の一部を相談しながら生徒に考えさせて行う(11月〜2月)

 

3 隔日で練習内容や指示は自分達で考えて行う。(3月)

 

では順番に見ていきましょう。

 

 

指導者が全て稽古メニューを指示する

 

 

これは3年生が引退して
新チームになったばかりのころです。
私の勤める地域は10月に新人戦がありますので、
そこまでは私が全て指示を出します。

 

 

私が指示する中で、
生徒同士で話し合わせる時間や、
なぜその稽古をやるのかという意識付け
をさせるようにしています。

 

 

この段階で、私が考えたメニューで生徒に号令をかけさせたり、
生徒だけで話し合わせたりするようにしていきます。

 

 

稽古以外の役割もこの時期に振りわけておき、
仕事が定着するまでは細かくチェック
していきます。

 

 

掃除場所や掃除の仕方。
剣道ノートの回収係や窓開け係などの仕事の仕方。
担任しているクラスのように
しっかりと指示を出すようにします。

 

 

夏休みで部活にかなり時間を割くことができるこの時期に、
時間と手間をかけてやることで、
後々楽になることが分かりました。

 

 

それからは最初にしっかりと
地盤をつくるようにしています。
組織作りは最初が肝心です

 

 

稽古の一部を相談しながら生徒に考えさせて行う

 

 

毎日の指示された稽古を
生徒達だけで行うことができるようになったら、
キャプテンや上級生の生徒達と私で
相談してメニューを考えるようにします。

 

 

はじめは私が言った意見が全て通ってしまう状態ですが、
生徒からも意見を引き出しながら話し合います。
毎日の休憩時間に少しずつ続けていくことで、
生徒も意見を言えるようになっていきます。

 

 

ときどき私の知らないようなメニューを考えてくる生徒もいて、
私自身が勉強になる時もあります(笑)

 

 

この時のポイントは、

 

なぜそれをやるのか

 

楽なメニューになっていないか

 

どうやって他の生徒に伝えるのか

 

の3つをしっかりと考えさせることです。

 

 

隔日で練習内容や指示を自分達で考えて行う。

 

 

新入生が入る前のこの時期に入れば、
4月から私が指導をする場面が減ることを知っている生徒たちは、
自分達でやっていこうとします。

 

 

3月の初めごろから、「今日はよろしく」という形で、
隔日で生徒だけの練習をさせます。

 

 

私は外からのぞいたり、
離れた場所で素振りをしています。
近くにいるので、生徒たちは意識しますが、
私は何も言いません。

 

 

稽古終了後に、少しだけアドバイスをしたり、
困った点を相談したりします。
そのアドバイスの部分を、次の日の稽古で私がやってみせることで、
生徒にも学びがうまれます。

 

 

1ヶ月もやれば、何も言わなくても
自分達でやれる状態になっていきます。

 

 

必要なときに集合をかけて相談したり、
お互いにアドバイスをしたり、
上手な生徒が見本を見せたりします。

 

 

私は近くで見守っているだけで大丈夫になります。
その結果4月からの新入生指導も、
安心して集中できます。

 

 

ここを目標にして
、7月から布石を打っていくこと
が大切です。

 

 

最後に

 

生徒一人一人が自分の目標を立てながら、
チームで練習できるようになれば、
練習効果もどんどん上がります。

 

 

以前は私もトップダウンで全てを管理しようとしていました。
しかし、私自身が部活に行けない日も増え、
特に4月からの新入生を指導している間は、
目が行き届かなくなってしまいます。

 

 

自分達で運営する部活、稽古、練習内容になっていけば、
私が指示を出さなくても、
生徒達もワクワクしながらしっかりとやることができます。

 

 

もちろん技の稽古で私が指導する場面はあります。
時には叱るときもあります。

 

 

全くノータッチというわけにはいきませんが
チームの状況を見ながら、
子どもの自主性に任せてみましょう。

 

 

きっと驚くような成長を目にすることができます。

 

 

>>弱小剣道部が強くなった秘密

 

 

顧問としての考え方あれこれ

 

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>>剣道初心者の稽古法に進む

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